【授業情報】グラフィックデザイナー・大原大次郎さんの特別講義を開催
2026/9/7
タイポグラフィをメインとしたグラフィックデザイナーとしてご活躍中の大原大次郎さん(https://oharadaijiro.com/projects/123/)をお招きし、特別講義を開催しました。聞き手は、本校講師の菅沼比呂志先生です。

講義の前半では、大原さんがこれまで手掛けられてきた数々のお仕事について、実際の作品をスクリーンに映しながら丁寧にご紹介いただきました。展開されてきたお仕事の一つひとつには、それぞれ異なる発想の出発点があり、制作エピソードを伺うたびに、学生たちからは驚きや納得の声が漏れていました。中でも印象的だったのは、日常の中でつい聞き流してしまうような些細な出来事や違和感を、デザインのアイデアへとつなげていく大原さんならではの着眼点です。普段は見過ごしてしまうような小さな発見を丁寧に拾い上げ、それを形にしていく姿勢に、学生たちは何度もハッとした表情を浮かべていました。
タイポグラフィに深く精通していらっしゃる大原さんからは、講義の中盤で、主に「文字」をテーマにお話しいただきました。使用する道具そのものはもちろん、道具を使う環境や設定、さらにはそれらの組み合わせ方を少し変えるだけで、出力される文字や線の印象は大きく変わってくるといいます。大原さんは、こうした要素を意図的に変化させ、自分なりの表現へと落とし込んでいくことこそが「独自性」なのだと語ってくださいました。この独自性を、学生たちには意識して欲しいとのこと。

中でも特に印象深かったのは、「関節で描く・手首で描く」というお話です。私たちは普段、紙を机の上に水平に置いた状態で文字を書いたり、絵を描いたりすることがほとんどです。しかし大原さんは、その当たり前とも言える姿勢そのものに着目し、あえて紙を壁に貼り、垂直な状態で絵を描くという実験的な試みを通して作品制作を行われたそうです。体の使い方――手首を主体に動かすのか、肘や肩といった関節全体を使って動かすのか――それによって、同じ文字や絵であっても、線の質や表情にはっきりとした違いが生まれると言います。普段意識することのない身体の動きと表現の関係について、学生たちも自分の手元を思わず確認するような場面が見られました。

講義の終盤では、実際に社会に出て働く上では、必ず誰かとチームを組んで制作を進めることになる、というお話もありました。一人で完結させる卒業制作とは異なり、クライアントやスタッフなど他者との協働の中でアイデアを形にしていくプロセスには、卒業制作には無い難しさと面白さの両方があるとのことです。この言葉に、これから社会へ出ていく学生たちの目は釘付けになっていました。
大原大次郎さん、菅沼先生、ありがとうございました。