【授業情報】フォトグラファー・中島古英さんの特別講義を開催
2026/9/16
フォトグラファーとしてご活躍中の中島古英さん〈https://kohide.com/〉をお招きし、特別講義を開催しました。聞き手は、本校講師の菅沼比呂志先生です。

講義では、中島さんがこれまで手掛けてこられた数々のお仕事を、スライドに作品を写しながら丁寧にご紹介いただきました。主にお話しいただいたのは、新聞広告、CM、SNS広告……。何気なく目にする広告写真の裏には、撮影者の工夫と、クライアントやデザイナーとの緻密なやり取りが積み重なっているということです。

経口補水液の新聞広告は、通常の撮影の合間にこっそりライティングを変えて撮った一枚が、数年越しにクリエイティブディレクターの後押しで採用されたものでした。同じ写真でも新聞広告と電車広告ではトリミングがまったく違う点や、医薬部外品ゆえに外せない表示義務との兼ね合いなど、写真を活かしながら制約をクリアするデザインの工夫が語られました。
公共施設の広告では、俳優に何度も宙を舞ってもらい、背景の空は各地で撮り溜めた写真を合成したのだそうです。なぜその表現が必要なのかを丁寧に伝えることで、俳優が驚くほど的確に応えてくれたとのこと。ある通信教育講座の広告では、小学生モデルの「居心地の良さ」を写真ににじませるため、都会のスタジオではなくあえて学校の屋上や校庭で撮影したというこだわりも印象的でした。
ランドセル広告では、我が子をポージング確認のテストで撮った写真が、数年後に別ブランドの仕事の際にそのまま採用されるという、偶然が重なった面白いエピソードも紹介されました。
アイライナーブランドの撮影では、当初のラフスケッチになかった寄りのカットが結果としてメインビジュアルに採用された経験から、「ラフを具現化するだけでなく、自分がいいと感じた瞬間を提案できることもカメラマンに必要な力」と語られました。マスカラ広告では、モデルの角度やライトの位置を1ミリ単位で計算し尽くした緻密な撮影も紹介されています。ある大手マヨネーズブランドの長寿シリーズ広告は、写真とコピーを分けていたレイアウトから写真全面へと転換する時期に抜擢された、思い出深い仕事だったそうです。

中島さんが繰り返し強調していたのは、「カメラマンは指示されたものを撮るだけの存在ではなく、現場で気づいたことを提案できる存在でありたい」という姿勢でした。この訴えに応えるように、学生たちはメモを書く手を止めません。
中島古英さん、菅沼先生、ありがとうございました。