真っ青な空が広がる一日、インテリアデザイン科2年生フィールドワークの授業で、目黒にある東京都庭園美術館に行ってきました。
ヨーロッパで流行ったアールデコスタイルのデザインに実際に触れることが目的です。
ちょうど美術館は「装飾の庭朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術」と題した展示をおこなっていました。
先ず目に入るのは玄関にあるフランスのガラス工芸家ルネ・ラリックがデザインしたガラス扉のレリーフ。
曇りガラスに花びらをまとった女性が浮かび上がっています。
レリーフにより、外光がとても和らげられ、室内に優しい光として差し込んでいます。
次の間にある「香水塔」これはアンリ・ラパン作。
パーティーの時などこのタワーの上から香りがする水が噴水のように落ちていたようです
どんな雰囲気だったのでしょうね。
ルネ・ラリックのシャンデリアが下がる大客室。天井は漆喰でかたどられた繰形。
それほど大きな部屋ではないですが、アールデコ様式が持つ幾何学的直線性を大切にするデザイン傾向が分かります。
光の入り方によるかもしれませんが、空間は、ある程度カラッとすっきりしながら、暖かさもあり、現代デザインに繋がるニュアンスが見て取れます。
この建物の魅力の一つは、各室の天井が高いこと。
日本の伝統的な空間では、天井はあまり高く取られていません。
しかし、このヨーロッパの文化を伝える空間を体験すると、天井が高い空間の持つ、伸びやかさも魅力的に感じます。
屋上にあるサンルーム。現代のデザインとしても違和感がありません。
みんな、こんなスペースでゆっくりと昼寝をしたい気分。
庭の樹木も、まだ紅葉はしていませんでしたが、秋の柔らかい日差しを投げかけていました。
当時ヨーロッパで流行っていた様式に習い、90年前に朝香宮が自邸として建設、戦後美術館に変容したこの建物ですが、良くメンテナンスされていることもあり、近代デザインの流れを実際に体感するにはとても良い場所でした。
参加した学生も、1930年代のヨーロッパの住宅の魅力を体感することができました。
インテリアデザイン科のフィールドワークの授業では、これからも何カ所か、建物や街並みのデザインを見学に行く予定です。